高齢化社会の本格化に伴い、遺産の相続問題がクローズアップされている。とりわけ、
煩わしい遺産相続の手続きはお年寄り本人はもとより、家族にとっても頭痛の種だ。そんな悩みに応え、相続手続きに関する相談からその代行まで、相続人の求めに応じようというサービスが金融界で注目を集めている。
東京都内を営業地盤とする地方銀行の東京都民銀行もそのひとつで、預貯金や不動産などの名義変更や、納税、遺族給付など、煩雑で面倒な手続きからその代行までを手伝う顧客サービスを、関連会社のとみん経営研究所を通じて始めた。
大手銀行の場合、普通銀行に認められていない遺産整理業務をグループの信託銀行につなぐことなどで、対応しているが、親密な信託銀行を持たない地銀で、こうした支援サービスを始めるのは都民銀行が初めて。
この「相続手続支援サービス」は、とみん経営研究所が、税理士や司法書士、社会保険労務士などの相続に関する専門家を抱えるシグマジャパン(東京都新宿区)と業務提携することで実現した。
同研究所は、このサービスを希望する会員企業と都民銀行の顧客から相談を受け、相続手続きが必要と判断した場合、シグマジャパンが運営する相続手続支援センターに紹介する。
所属する弁護士や税理士など専門家が多岐にわたる情報を提供するとともに、代行業務を有料で手がける。専門家による調査などを一元化することで、信託銀行による遺産整理業務よりも費用負担を低減できる。このため、遺産総額が比較的少ない場合でも利用しやすいという。都民銀行は、預金の名義変更など銀行業務にかかわる手続きを支店で受け付けるなかで、相続手続きが煩雑で手間がかかり、しかも費用がいくらかかるか分からず困惑してしまう顧客が多いことに注目した。
同行は相続手続支援センターの報酬の数パーセントを手数料として受け取れ、新たな収益源としての期待もある。同時に顧客利便性の向上に取り組んでいることをアピールし、とくに、富裕層を顧客とする信託銀行と異なる個人層の取り込みにいかす。