相続の手続き全般を手伝う兵庫生まれのビジネスが、全国に広がっている。神戸市西区の米田貴虎さんが四年前に始めた「相続手続支援センター」のノウハウを生かし、北海道から九州の二十七カ所に同様の事務所が設立された。同センターは約七十種類の手続きをサポートするが、その中で、保険金や年金のもらい忘れ、借金の”返し過ぎ”が明らかにケースもあるという。核家族化が進む中、一人で悩む遺族らの依頼が増えている。
同センターは、相談者に対して必要な手続きを示し、相続完了までの行程表を作成。各手続きの助言のほか、希望に応じて代行する。必要があると判断すれば、税理士や弁護士らと直接契約するよう勧める。
米田さんは三木市の土地家屋調査士事務所に勤めていた二〇〇〇年、このサービスを考え、同市内に支援センターを設けた。相談件数はその年は約五十件だったが、今年は十月現在で約三百三十件に上る。〇二年には知人と東京で会社を設立し、研修を通じて全国の税理士らにサービス内容を伝えている。
これまでの相談を通じて、遺族がクレジットカード特典の保険金千五百万円を申請していなかった▽死亡した家族の年金加入歴を勘違いし、遺族年金が本来より少なく支払われていた▽債務者の死亡で返済義務がなくなる借金を遺族が返し続けていた―などが分かり、遺族に喜ばれたことも少なくない。
米田さんは「相談先が分からず、ストレスや経済的不利益を被る遺族が多い」と話す。相談は無料。基本料金は相続総額の0.3%。
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